2020/04/03
みなさんこんにちは、院長の今井です。今回は6歳から12歳くらいの子供達の口腔の発育に関してお話しします。注意しなくてはならないことは、低位舌と口呼吸です。
昭和の時代は、子供の虫歯の治療はとても数が多かったのですが、平成になって健康志向が高まり予防歯科が進むに連れて、虫歯の数は激減しました。口の中に全く虫歯のない子供も多く見られます。しかしながら昔と比べて、歯並びが悪い子供達が増えてきています、それは何故でしょうか?
歯並びが悪いのは遺伝なのでしょうか?もちろんそれもありますが、口腔の機能が低下している事が大きく関係しているようなのです。そのポイントが呼吸の仕方と舌の位置なのです。最近は呼吸と舌の使い方に少し問題があるケースが多く見られます。
皆さんは嚥下(唾を飲み込むこと)をするときに舌の先はどこを触っていますか?舌が上の顎を押すように嚥下すると顎の幅が広がり歯列が理想的に保たれます、しかし舌先が歯を押すように嚥下すると舌の位置が低くなり(低位舌)歯が前に動いたりして歯列は狭くなり歯並びが悪くなる傾向があります。舌が歯を押す力は約500gと言われています、人は1日24時間で約2,000回嚥下すると言われていますからその力は凄まじいものとなります。低位舌になると気道が狭くなり空気の取り込みが悪くなるなり、鼻呼吸より口呼吸が多くなる傾向になります。
次に呼吸ですが、なぜ口呼吸より鼻呼吸の方がよいのでしょうか?(もちろん運動するときなどは別です)鼻から入った空気はその構造から加湿清浄されて体内に取り込まれまれます。そのため、悪い菌が入り込む量を少なくし、喉を炒めたりするリスクを減らしてくれます。鼻からゆっくり空気を吸って吐くことにより体内の酸素と二酸化炭素の量をコントロールし生体を良い状態に保つ効果もあります。
口呼吸は乾いた冷たい空気が体内にそのまま入ってくるので、喉を痛めたり、細菌などが多く入ってきて体の免疫が低下していきます。また、口呼吸が多くなると唇や頬の筋肉が緩み、お口がポカンと開きやすくなるので、舌に押されて前歯が出てきたりするため歯並びに悪影響を及ぼします。
近年はこのような低位舌、口呼吸が原因で顔貌の発育不全が生じて歯並びが悪くなるケースが増えていると言われています。こういった悪習慣を直さずに矯正治療を行って歯並びをキレイにしても後戻りしやすかったりします。
そこで当院ではマイオブレースといった装置を昼の1時間と就寝時に使用してもらって舌や唇の筋肉のトレーニングを行なっています。正しい呼吸と嚥下を身につけていく事で子供達に正常な発育を促します、そうする事でより良い顔貌、歯並びが出来て来るのです。正しい上下顎の発育で気道も広がり体や脳にも十分に酸素が取り込まれやすくなります。
しかしなぜこのように子供達の正常な発育が妨げられるようになってきたのでしょうか、その大元の原因は何なのでしょうか?一概には言えないかもしれませんが、赤ちゃんのころからの授乳や離乳食の与え方、食品の変化などの影響が大きいかもしれません。最近ではうまく物が噛めない子供達が増えてきています。子育てを急がず、口に入る食品にも注意しながら、お口の周りの発育を見守っていく事が大切だと思います。