2022/02/09
木曜日の小児歯科担当の竹渕です。当院の小児歯科の治療では基本的にラバーダム防湿(ゴムのマスクと呼んでいます)を使用しています。使用目的には以下のような理由があります。
・治療する歯を唾液から守る・・・細菌をたくさん含んだ唾液が、治療している歯に触れるのを防ぎます。お子さんは特にお口が小さく、唾液が多いので、脱脂綿を使った乾燥状態の維持が困難です。また、乾燥状態を保てるので、歯と詰め物の良好な接着が得られます。
・頬や舌の損傷から守る・・・歯の治療では、頬や舌のすぐ近くで30万回転/分以上の高速回転器具を使用します。削る歯と、粘膜がラバーダムで仕切られていることにより、粘膜を傷つけてしまうリスクが減少します。
・お口の中に薬剤や器具が落下することを防ぐ・・・歯科治療では、多くの薬剤や鋭利な器具、細かい器具を使用します。それらがお口の中に落下してしまうと、化学的・物理的に粘膜を傷つけてしまったり、誤飲させてしまう危険性があります。ラバーダムを行うことにより、これらのリスクも大幅に軽減できます。
・治療時間が短縮される・・・例えば詰め物をするとき、唾液を乾燥させる→筒状の脱脂綿を挟む→また乾燥、のような手順が減るため、ラバーダム装着の手間を考えてもトータルの治療時間を減らすことができます。
これらの理由から、特に小児歯科の治療においてラバーダム防湿は必須とされています。器具を装着する歯の圧迫感や、鼻呼吸が必要など多少のデメリットもありますが、安全性や治療成績を考慮すると必要不可欠だと考えております。
もう一点。私事で恐縮ですが、この度、技能公募の予備自衛官補に志願、採用され、先日辞令交付式に参加して参りました。予備自衛官補は、所定の教育訓練を終えると予備自衛官に採用され、有事の際に招集され任務に当たります。私は歯科医師免許を持っているということで衛生(甲)という区分で採用され、主に大規模災害時の活躍が期待されています。これまで、歯科医療を通じて地域の皆様の健康増進のお役に立てるよう努力して参りました。一方で、胆振東部地震を経験して、災害時に自分にできることは本当に限られていると痛感いたしました。自衛隊の活動を通じて、さらに広く社会に貢献したいと思っております。訓練に際し、当院での診療を休ませていただく場合があるかと思いますが、どうかご理解ください。