札幌市豊平区の歯医者、医療法人社団博愛会のドクターによるブログです

MRONJについて

こんにちは。アイビー歯科クリニックの船戸です。

タイトルにあるMRONJとは、薬剤関連顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw)の頭文字を取ったものになります。

漢字や英単語のせいで難しい話に聞こえてしまいますが端的に言いますと、「飲んでいる薬の副作用で顎の骨が壊死してしまう病気」のことです。

今回はMRONJについて説明していきます。

 

 

1. どんな薬が原因となるの?

骨粗鬆症治療薬の一部で起こることがあります。中には骨粗鬆症ではなく関節リウマチや悪性腫瘍の骨転移に使われるものもあります。

・ビスホスホネート製剤(BP製剤)

ゾメタ、ゾレドロン、フォサマック、ボナロン、ボンビバ、ボノテオなど

・抗RANKLモノクローナル抗体

ランマーク、プラリア

・その他

ロモソズマブ、ベバシズマブなど

 

2. どんな人がなりやすい?

お口の中の状態としては、

・歯周病

・根尖病巣(歯根の先端に菌が溜まっている状態)

・抜歯をした

・プラークや歯石が溜まっている

・義歯(入れ歯)が合っていない

などが挙げられ、全身の状態としては、

・糖尿病

・自己免疫疾患(関節リウマチ、シェーグレン症候群など)

・人工透析中である

・喫煙、飲酒をしている

・肥満体型である

などが挙げられます。

 

3. MRONJになったらどうなるの?

お口の中の粘膜や歯肉が破れ、顎の骨が見えてしまいます。痛みを感じたり膿が出たりすることもあります。基本的に自然に治ることはありません。

 

4. MRONJの治療法は?

MRONJの進行度によって変わってきます。

保存的治療(抗菌性洗口液、洗浄、局所的抗菌薬の注入など)と外科的治療(壊死骨+周囲骨切除など)の二つに大別されます。

 

 

MRONJは2003年に初めて報告された疾患です。

その時は前述のBP製剤が顎骨壊死を引き起こすとのことからBRONJと呼ばれていました。

その後、違う薬で同じ現象が見られるようになり、DRONJだったりARONJだったり…と名称も変わってきましたが、現在はMRONJが一般的になってきています。

このようにまだまだ新しめの疾患のため、発症予防に関しては明確なエビデンスが無いのが現状です。

 

しかし、虫歯や歯周病を治療する、歯磨きの仕方を徹底するなどにより、MRONJの発症リスクを減らすことが出来ます。

発症予防に関して明確なエビデンスが無いからこそ、お口の中の感染源を減らし、リスクを減らすことがとても重要になってきます。

 

 

実際にMRONJ発症リスクのある薬を始める際には医科の先生あるいは薬剤師の方にこのような資料を配布されることが多いです。

「この資料持ってる!」「該当する薬飲んでる!」「骨粗鬆症の治療中だけど私は大丈夫かしら?」とご心配の方は、お気軽にご相談ください。