札幌市豊平区の歯医者、医療法人社団博愛会のドクターによるブログです

仮歯のはなし

歯科治療では、削って型を取って次回以降でかぶせ物を装着するという流れがよくあります。

このとき削った歯に仮のカバー(シールと呼ばれます)をつけることもありますが、仮歯をつけることもあります。

この仮歯は何のために作っているのか、どんな効果があるのかを今回は書きたいと思います。

 

仮歯はテンポラリークラウン(テック)やプロビジョナルレストレーション(プロビ)と呼ばれ、

・見た目を改善する

・失われた歯の形態と機能を一時的に回復する

・隣や咬み合わせる相手の歯が動くのを防ぐ

・歯髄(歯の神経)を刺激から保護する

・歯肉の馴染みを改善する

・これから作るかぶせ物の仕上がり予測をする

・咬み合わせが適正かチェックする

・咬み合わせを作り直す

などの役割と目的があります。

 

同時に治療する歯が多くて1本単位ではすぐに型取りができないケースでは、何本かまとめて型取りをするまでの繋ぎのかぶせ物として仮歯を利用することもあります。

1歯単位の短期間で終わる治療では仮歯を用いないことも多いですが、ブリッジのような一度に複数から多数の歯を扱う場合や、歯周病治療のような長期的なスパンでの治療を行うとき、咬み合わせの再構築をするときは必要になる場面が多くなります。

 

仮歯を装着しておく期間には特に定めはなく、きちんと作られた仮歯は半年や1年経っても機能します。

とはいえ、仮歯の材料は保険治療で多く用いられるコンポジットレジンより強度や耐磨耗性に劣るものがほとんどのため、あまり長い期間同じ仮歯のままだとひび割れたりすり減りすぎて不具合が生じます。

 

一口に仮歯と言っても、目的や性質によって使い分けられ、その形には術者の知識や技術が詰め込まれています。